あと1ヵ月足らずで春節(中国の旧正月)の大型連休。今年も訪日中国人観光客が大勢やってきそうだが、一部の中国人富裕層に取材をしてみたところ、日本旅行の際に食べる日本料理について、思いがけない“不満”があることがわかった。それは、普通の日本人にとっては想像もできないような内容だったのだが……。(ジャーナリスト 中島 恵)
中国人富裕層に
人気の日本の焼き肉
「日本旅行の際、当社の店舗にもたくさんの予約が入ります。日本料理店はもちろん中国人観光客に大人気なのですが、中でも最近は和牛への興味や関心がものすごいですね。当社は焼き肉店も運営しているので、そちらへの問い合わせや予約もたくさんいただいています」
ある飲食企業に勤務する中国人女性は弾んだ声でこう語る。東京都内を中心に複数のジャンルの飲食チェーンを多数持つ企業で、日本人の顧客以外に、中国からのインバウンド客もよく訪れる。そこで、富裕層に人気急上昇中なのが焼き肉店だ。
近年、北京や上海などの大都市には中華以外にも、フランス料理、イタリア料理、スペイン料理などさまざまなジャンルの料理店が増えていて、中国人の食の多様化は急速に進んでいるが、日本でよく見かけるような焼き肉専門店はまだそれほど多くない。日本を訪れる中国人観光客は、「和牛はおいしいと聞いている。ぜひ日本で、日本スタイルの焼き肉を食べてみたい」という憧れを持っている。
そこで、神戸牛、松阪牛、宮崎牛、山形牛など、さまざまなブランド牛が食べられる日本の焼き肉店をわざわざ検索してやってくる人が多い。中国人にとって、日本料理は一般的に1人前の量が少なく、味が淡泊で料理が冷めている、というイメージがあり、中には物足りなさを感じる人もいる。だが、焼き肉やステーキ、しゃぶしゃぶの人気は高い。とくに焼き肉は自身で焼くことができ、熱々でたれの味が濃く、満足度が高い。
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